山岸の雪屋
更新日:2010年8月24日
山岸菅井家の雪切り作業風
寒河江むかしさがし
市史編纂委員 宇井 啓
寒河江川の伏流水と二の堰の水を用いた寒河江の天然氷。山岸の雪屋と称した三軒の雪屋(菅井・水戸部・井上家)で作られた。
いずれも家浦(中央地区)に「ツツミ」と井戸を持ち、長岡山楯(城)の空濠の土手を利用して「雪穴・ムロ」を構築していた。
その創業は明らかでないが菅井孝太郎家では、すでに明治14年に明治天皇に氷を献上している。
同家では、ツツミの広さ8アール。2月の大寒頃から切り上げた45センチメート×75センチメート×24センチメートの氷塊をムロに積み入れた。主として親戚の人を頼んだ。
6月1日がムロあけ。町内の露店商・医院・料理屋の人が買いに来た。
水戸部清一家では、ツツミの広さ4アール。氷の大きさ30cm×60cm×24cm位。降った雪をパッキンにして村衆を頼んで積み入れた。二の堰に臨時の橋を架け、主に町内の飲食店に卸した。
井上勝蔵家では、ツツミの広さ約10アール。12月に水を張り、夜中に何度も起きて、降った雪を払い、穴をあけて氷の厚さを測って切った。氷の大きさ90センチメートル×60センチメートル×24センチメートル。氷切りと運搬に一日15人くらい村衆を頼んだ。夏冬通して、洲崎の避病院と虎屋へ、さらに町外にも卸した。
戦後、進駐軍がやって来て、ムロから氷を徴発していった。同家の祖母が抵抗したがだめだったという。
昭和24年、衛生面から山岸の雪屋は廃業した。
長く農家の副業として続いた製氷。ポッカリロを開けた暗い雪穴を思い出す。
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