平塩熊野神社の常夜燈
更新日:2010年8月23日
平塩熊野神社の常夜燈、左奥に舞楽殿
寒河江むかしさがし
市史編纂委員 宇井 啓
古く行基が開いたという平塩熊野神社の常夜燈。
神威を高め参詣者の便を図るため、ずっと昔から一対の常夜燈には一晩中燈火がつけられていた。この点火役は、平塩一山の衆徒たちの大事な役で、一年交代で勤めていたのである。
今の常夜燈の建立は文化元年(1804年)4月3日。この油料は実相坊が寄進した「油田」 によったもの。
最後の点火役を勤めたのは梅本坊(富澤啓)。学校を終えたばかりの15歳で昭和16年が当番だった。
夕方暗くなりがけ、薬鑵に入れた菜種油を火袋の燈心皿に注ぎ、それに火をとぼしたと語る。風雪の日も毎日根気よく通ったという。
燈火は真夜中まで燃え続けた。たまたま早く燈火が消えていると、村の重立達に厳しく叱責されたという。
この役料は油代含めて米三俵であった。後に常夜燈は電燈に代わり、何百年と続いた衆徒の役割を終えた。
村人たちは昼も夜も、神社の前を通る時は立ちどまり両手を合わせる。
最後の当番となった梅本坊は「六供」 と称した古い坊。広い屋敷には玄関二つの坊舎と地蔵堂と池。その裏手に御朱印田。その続きに畑と山林が広がる。
山の山頂には愛宕堂。その麓には白山堂。用水は闇夜沢からとうとうと流れ下るといった一幅の宗教的な世界。古い梅本坊の空間は今も眼前に広がる。
炎天下、神社に向かう。本殿の右手奥に、梅本坊が祭りを行う御獄神社。常夜燈をのぞくと小さな裸電球が一つ、置かれていた。
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