雨宝童子像
更新日:2010年8月24日
寒河江むかしさがし
市史編纂委員 宇井 啓
西根石川の中ほど、百目木橋のたもとにある小野孝明家に、この辺りでは珍しい「雨宝童子」という仏像がある。
像の高さは31.0センチメートルで、右手に宝棒、左手に宝珠を持ち岩座の上に立っている。
頭の頂きには五輪塔をのせ、長く黒髪をたらす不思議な姿。
顔はおだやかで、鼻は低く切れ長の目。うつむき加減で、袖の大きいことが特徴である。
一木造りで、髪だけを黒く彩色している室町時代までさかのぼる素朴な像容。
この雨宝童子像は、蔵王権現や三宝荒神のように、神仏習合で生まれた日本だけの仏像。絵画に見られるが、彫像のものはなかなかお目にかかれないという。
伊勢の金剛証寺に伝わるものは、平安時代の彩色の美しい重要文化財の仏像である。
小野家の先祖が、伊勢詣りに行って求めてきたのだと伝えている。小野家は、当主で二十三代を数える旧家で、石川寺の近くに古い五輪塔の墓を残す。今では風化して層塔のようになっているが、これも室町時代を下らない。小野家初代の小野主税の墓だという。
雨宝童子の祭りは、旧5月28日。求福除災を願って祈る。
今では、樹齢300年を超えるキャラ木のそばのお堂に大切に安置している。百目木川の瀬音が響く部屋には北風が吹いている。アメリカで暮らす娘夫婦のことを思いながら、サクランボ作りに精を出す小野さんだった。
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