高山植物が美しい楽園のような山頂へ、リフトを使ってお手軽に登るコース。下山後は「旨い水」「美味しい酒」「最高の温泉」の三拍子が揃う、月山志津温泉郷と重要文化財「岩根沢三山神社」をめぐる旅をご紹介。
険しい山道を10時間以上もかけて山頂を目指す肘折口の登山道は、今でも多くの修験者が足を踏み入れる修験道として、地元の方々を中心に整備されています。この道は「月山」を理解するうえでとても大切な登山道なのです。
「えっ!? そんなに歩くの?」と思わないでください。今回ご紹介したいルートは肘折口ではなく、「半日で大満足♪ 霊峰月山お手頃ツアー」が楽しめる志津口コースです。月山リフトを利用し、標高1,500mまで楽々登り、たった2時間で山頂に到着です。毎年4月にならないとスキー場がオープンできないという豪雪の月山は、年によっては8月まで山肌に雪渓が残ります。雪渓歩きとなると少し緊張を伴いますが、ご安心を。月山リフトの乗り駅では、安全登山のためのアイゼンのレンタルを行っています。料金もリーズナブルで、2,000円でレンタルできて、返却時に1,500円を返金してもらえるシステム(実質負担は500円)です。登山に適した季節は6月以降、他では味わうことができないお花畑広がる雲上の半日登山コースに、月山リフトがラク~に誘ってくれます。
万年雪の世界と言われる月山にも春は訪れます。やさしい春の産声と共に雪解けの中から顔を覗かせるのは、神秘的な高山植物が咲かせた花々。350種類以上の高山植物を見ることができると言われている月山では、幻のクロユリやヒナザクラの群落に出会うことも珍しいことではありません。
リフトから山頂まで整備された登山道を逍遥する約2時間の道のりは、青い空の下に緩やかな曲線で彩られる夢のようなお花畑の世界になります。そして山頂に鎮座する月山神社に込められた先人たちの想いは、命の多様性を守り続けてほしいという月山への願いなのかもしれません。
さて、日本有数の積雪量を誇る月山には、天然のダムと言われるブナの原生林が広がっています。日本海からの季節風によってもたらされる雪は、標高わずか2,000mに満たない山でありながら日本有数の積雪量を誇り、その豊かな雪解け水は滞留時間400年とも言われるほどの水源を作りだしているそうです。山麓の月山山麓湧水群は、名水百選や水源の森百選にも選定されているほどの素晴らしい水が湧きだし、飲み水としてはもちろん、地元の酒蔵が醸す日本酒が、美味しい理由でもあるのです。
湧き出る水と言えば、忘れてはならないのが温泉です。今回のご紹介するルートの起点としておすすめした場所は、旨い水、美味しい酒、最高の温泉の三拍子が揃う、月山志津温泉郷です。新幹線の場合には、山形駅もしくは天童駅からレンタカーで山形自動車道終点の月山ICまで走り、六十里越街道を10分ほど北上するだけ。月山志津温泉郷には、西川ICから月山リフトの乗り口となる姥沢まで西川町営バスも走っていますので、「月山リフト乗り口までの山道(国道114号)は、バスで」という、20分間のバス旅もおすすめです。このエリアには、昔から参拝者を迎えるためのお宿がたくさんあります。月山への安全登山と文化を肌で感じるためにも、ぜひ宿泊してみてください。
花咲き誇る楽園のような山頂の景色に後ろ髪引かれながら、下山する頃には、お昼くらいになっているはずです。せっかくならもう一ヶ所、極上の温泉で汗を流してはどうでしょうか。おすすめは、月山湖の南、県道27号沿いにある「大井沢温泉ゆったり館」。体にまとわりつくツルツルの源泉100%のお湯で、芯まで長くあったまると口コミでじわじわと広がっています。
湯上り後は、付近の神社巡りも風情ある作りで楽しめますが、ぜひ足を運んでほしいのは、平成12年に重要文化財に指定された「岩根沢三山神社」です。途中の湯殿山神社や月山銘水館、月山の酒造資料館も魅力的なスポットなので、せっかくなら高速道路に乗らず、国道112号の快適なドライブを楽しんでみてください。
日本百名山であり、花の百名山にも選ばれている「月山」は、山形県のほぼ中央に位置する。標高2,000mに満たない山だが、日本有数の豪雪地帯のため3,000m級の山でないと見られないような様々な高山植物に出会うことができる。雪どけした箇所から次々に咲くため、初秋まで高山植物が楽しめ、更に日帰り登山できるため、1年に何度も訪れる登山者も多い。
月山について詳しい情報を確認する※ヤマケイオンライン(外部サイト)が開きます。
温泉
出羽三山の主峰月山の麓にある雄大な自然の中の素朴な温泉郷です。10軒ほどの温泉宿があり、極上の温泉と山の幸や岩魚などの郷土料理でおもてなしてくれます。
温泉
西山杉を贅沢に使った、木のぬくもり豊かな日帰り入浴施設です。肌にまとわりつくツルツルの極上源泉が疲れをやさしく癒し、体を芯から温めてくれます。
寺社・パワースポット
由来は嘉禄二年(1226年)大和の国から行脚に来ていた僧が発心し一宇を建立したこととされています。明治二年の神仏分離令時に日月寺号を返上しますが、その後国重要文化財として指定されています。
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明治元年の神仏分離令で大神と呼ぶことになりましたが、将軍家の祈願所だったことから、東北一を誇った寺院は焼き払われてしまったそうです。湯殿山神社はその後再建され現在に至っています。
グルメ・おみやげ
地ビールと水が自慢のレストランが人気です。車での送迎サービスも行っていますので、町内に4名以上で泊まっている場合には大いに活用できます。
体験する
酒の原料の大部分を占める水です。設楽酒造では、月山が育んだ銘水を贅沢に使用して酒仕込みをしています。酒好きを呻らす月山酒造の一声シリーズを、ぜひ味わってみてください。