朝日連峰の主峰であり標高2,000mに満たないながら、季節の移り変わりがドラマティックに表れ、多くの登山者を引き付けて止まない大朝日岳への登山と極上温泉宿に泊まる、1泊2日のプランをご紹介。
「重厚な山塊の連なり」朝日連峰を一度でも見たことがある方であれば、この山域の威風堂々とした姿に同じ想いを馳せるはずです。中でも特に重厚さ際立つ大朝日岳は、朝日連峰の主峰にふさわしい端正な三角錐の特徴を持つ山体で、その山容から「剣頭山」とも称されている美峰です。
しかし、冬は豪雪に閉ざされ人を寄せ付けず、花と緑に包まれる季節でさえも、最短ルートで往復10時間を要する、まさに深山と呼ぶにふさわしい山。ただ、標高2,000mに満たないながら、季節の移り変わりがドラマティックに表れ、多くの登山者を引き付けて止まないことも事実です。今回は、登山者が一度は登ってみたいと願う大朝日岳の楽しみ方と、その麓で営まれる大江町と朝日町のグルメと極上の宿と温泉スポットをご紹介いたします。
登山コースの起点は、大江町の古寺鉱泉です。一般的なコースタイムでは、山頂まで6時間。下山の時間を合わせると、10時間ほどの行動になります。登山を楽しむうえで大切な要素のひとつは、余裕を持つこと。夜明けとともに登山を開始すれば、時間に余裕を持つことができ、気持ちもラクになります。そのためにも、起点となる古寺鉱泉朝陽館で宿泊し、翌早朝の出発がおすすめ。朝5時前には行動を開始していたいものです。
新幹線を利用するなら、天童駅で下車し、名所や温泉、グルメスポットを巡るためにレンタカーを活用します。山形自動車道で月山ICまで走り、寒河江川を左に見ながら国道27号を南下。大井沢トンネル手前の標識を頼りに、地蔵峠方面の道に入ると、程なくして古寺鉱泉口への細い舗装路と出合います。初日は古寺鉱泉でのんびりしながら、翌日の大朝日岳登山に備えます。
※平成25年7月18日及び22日に発生した豪雨による被害の状況をご確認ください。
[大江町公式ホームページ]
最短時間で山頂へ登ることができる古寺鉱泉口からの登山道は、危険な箇所が少なく、水場も多いため、もっとも人気の高いコースです。歩き始めは、背の高いブナを中心に、ミズナラやトチなどの広葉樹で構成される明るい樹林帯です。ただ、風が遮られているため蒸し暑く感じるかもしれません。標高差400mを登ると、一服清水という湧き水の水場に出ます。ひと休みしながら十分に水分補給し、次の水場となる三沢清水が枯れている場合に備えて、水筒も満タンにしておきます。
徐々に低木が中心の植生かわり、古寺山に着く頃には視界がひらけます。小朝日岳が大きく見え、その右奥にどっしりと大朝日岳が並ぶ絶景ポイントです。ここから風が抜ける稜線歩きになりますので、体温低下を軽減するためにも、こまめな衣服調節を心がけます。
小朝日岳まで来れば大朝日岳までは明るく清々しい稜線歩きです。最後の登りを前に、銀玉水という冷たくて美味しい名水の水場がありますので、喉を潤しひと息。主稜線に出て程なく、道脇に霊山朝日嶽神社の奥の院を見ることができます。休憩がてら手を合わせ、下山までの無事をお祈りするのも良いかもしれません。
山頂はもう目の前です。東北の山々を一望できる大パノラマのご褒美が待っています。山頂では、頑張った自分を褒めながら、下山に備えてしっかり休んでください。同じ道を辿りますが、疲れた体を労いながら、慎重に下ります。
古寺鉱泉口に戻る頃には太陽も傾いて来ています。古寺鉱泉のお風呂に浸かりたい気持ちをぐっとこらえ、南のブナ峠を越えて県道289号を目指し、朝日町へ移動します。疲れた体を思いっきり休ませてほしいおすすめの温泉と宿は、国道287号沿いにあるりんご温泉です。その名の通り、湯船にはリンゴがぷかぷか浮いていて、露天風呂からは朝日連峰の山々を眺めることができます。自分がさっきまであの山頂にいたと思うだけで感動を覚えます。それだけでリラックス効果もMAX!
宿はりんご温泉から1キロも離れていない、大丸屋旅館をおすすめします。ほっこりとした風情の宿で、お部屋でゆっくりと夕食を楽しむことができます。明治創業の古風な風情に癒されてください。
宿でゆっくり朝ごはんをいただき、存分に体を休めたら、県道112号沿いにある国名勝大沼の浮島を散策してみてはいかがでしょうか。大小60もの 浮島が漂う神秘的な雰囲気にきっと心休まるはずです。また、同じ県道に位置する朝日町ワイン城という地元ワイナリーに立ち寄って上品な気分を味わうのもよいでしょう。帰り道には、地元特産品を豊富に扱う道の駅巡りがおすすめです。国道287号には、8年ぶりに新設された県内18か所目となる道の駅あさひまち「りんごの森」が、大江町には道の駅おおえ、さらに寒河江市(道の駅寒河江)、河北町(道の駅河北ぷらっとぴあ)へと山形空港までの道沿いに道の駅が立ち並び、気軽にに立ち寄ることができます。
朝日連峰は、端正な三角錐の主峰・大朝日岳のほか、西朝日岳、寒江山、以東岳を主稜とする連峰で、花崗岩質の隆起山脈。
冬の季節風を受けるため雪も多いが、稜線上に点在する多くのお花畑、池塘、残雪はみごと。
稜線にいくつかの山小屋(避難小屋)が存在する。日帰りは強行軍のため前泊後泊を考えたい。なるべく近い山麓に一泊して日帰りするか、山中一泊の行程を組むなど、登山経験のある中級者以上に向いた山と言える。
※ヤマケイオンライン(外部サイト)が開きます。
温泉
大朝日岳への登山起点となる山小屋です。舗装された道路が近くまであり、約30台の駐車スペースも整備されています。秘湯感が強く、入浴目的の観光客にも人気があります。
温泉
朝日連峰と月山を望める絶景のロケーションが自慢です。東北でも珍しい強アルカリ泉質で、とてもあったまります。湯船にはりんごが浮かんでいるので、りんごの癒し効果を体で感じることができます。
宿泊
春は山菜、夏はウナギ、秋は松茸に、冬はカモ鍋など、季節折々の丹精込めた手作り料理が自慢。明治創業以来140年余の歴史を誇る老舗旅館の雰囲気が何とも贅沢です。
宿泊
朝日連峰を一望できるブナの森に抱かれたホテルです。地産物をふんだんに使用したお料理も要チェック。広い敷地内にはキャンプ場もあり、大人数で過ごせるコテージを完備。
宿泊
大朝日岳の雄姿を正面に望むブナの原生林に囲まれた登山拠点となる宿です。赤茶色の鉱泉風呂や自家製粉と湧き水で打つ手打ち蕎麦に、心も体も癒されます。
グルメ・おみやげ
2015年10月1日にオープンした国道287号沿いの道の駅です。町特産のリンゴをイメージした赤い屋根が目印。季節によって異なる地元特産品を数多く販売しています。
寺社・パワースポット
山岳修験者によって発見されたという沼で、湖上をゆっくり浮遊する大小60もの島が神秘的です。
沼は歴代の権力者たちの庇護の元に大沼浮島稲庭神社で崇められ、動かない葦原島を中心に浮遊する島の動きで吉凶を占ったと言います。現在は、国の名勝地に指定されています。
体験する
山形の風土に根ざした由緒ある地元のワイナリーです。ワインのほかにもブランデーなどがあり、びん詰行程などの見学も可能です。目の前には自社のブドウ畑が広がっています。
グルメ・おみやげ
近隣市町から特産品を集めて販売されています。青果コーナーも毎朝地元農家の方々が直接持ち込んでいるので、とっても新鮮。大江町でとれたラ・フランスのソフトクリームが絶品です。